デング熱

デング熱は、流行病になりやすい疾患で、東南アジア、中南米を中心に人口密度の高い都市部のスラム街や大都市の貧困層で増えています。現在では、世界で最も重要な蚊媒介性ウイルス疾患として位置づけられています。過去半世紀のうちに発生率が30倍も増加し、いまだに上昇を続けています。

伝播は主に感染したネッタイシマカの刺咬を介して生じますが、国によってはヒトスジシマカも同様に媒介します。これらの媒介蚊の生態は、人間の生活に密着しており、家や庭付近の放置された容器や貯水つぼの中で繁殖します。
デング熱は、世界中100カ国以上で認められ、20億人がリスクにさらされています。

デング熱の臨床特性は、患者の年齢によって異なります。高熱、頭痛、眼球後部痛、筋痛および関節痛、ならびに発疹を伴います。またその症状から、骨熱病(break-bone fever)という名前が付けられています。患者は2週間以上症状があり、さらに数週間は重度に衰弱した状態が続きます。デング熱は、家計だけでなく国の経済状況にも大きな影響を及ぼします。

出血性デング熱は高い確率で肝臓の肥大を伴う出血症状を特徴としており、眼、鼻および耳からの出血に続き、循環不全が生じることがあります。重症例では発熱の2、3日後に急に容態が悪化し、体温低下に循環不全の徴候が続き、場合によっては、患者は急速に危険なショック状態に陥り12時間から24時間以内に死亡することがあります。患者は、病院での的確な治療がなされない場合、ほぼ死に直面することになります。

現在のデング熱または出血性デングをコントロールする手段としては、媒介する蚊の撲滅しかなく、殺幼虫剤の繁殖場所への処理、ならびに空中散布を用いての成虫予防が行われます。容器の撤廃や貯水方法の改善を通じて繁殖場所を減らす環境管理手法を用いたコントロールも導入されています。貯水容器の蓋などを含めたこれらのコントロール手法は、共同体プログラムの一環として奨励されています。ワクチンは開発中ですが、実用化の見通しはまだ立っていません。

臨床症状に対する治療は主に対症療法です。医療機関で的確な治療を行えば死亡率を顕著に下げることが出来ます。しかしながら、このような医療機関は誰でもが利用可能ではなく、さらに病院での治療は高価です。